カナダっていいとこ?

カナダ在住40年余の私に初孫が与えられたのを契機にこのブログを始めました。カナダのことや私の生活のことなどシェアさせていただければ幸いです。

暴風雪に見舞われたトロント

1月28日は1日中(夜にかけても)激しい暴風雪に見舞われた。近年、見たこともないようなもので、強風に乗せられた雪が空一面に舞い上がり、視界が極めて悪くなった。車を運転していた人たちはさぞ怖い思いをしたに違いない。強烈な吹雪でところによって30センチ前後の積雪となったそうだ。

私はついに一歩も部屋から出なかった。いや、正確に言うと廊下に出て郵便物を受け取るために行くところには、往復30メートルほど歩いた。それだけだった。こんな天気の日に表に出るのは狂気の沙汰だ。

29日はお仲間と定例ウオーキングに出かけるはずの火曜日だったが、前日の暴風雪の勢いに押されて全員が不参加の意思表示をしたため、中止した。正しい選択だと思う。

冬には冬の美が。。。

1月22日にいつもの火曜日朝定例ウオーキングに行った。車で十分ちょっとで行けるルージュ・パークのトレイル。この朝もマイナス10℃ぐらいだったが、その前週末からトロントは今冬で最も厳しい寒波に襲われ、マイナス20℃前後の日が続いた。

冬には樹々の葉っぱも花々も野の草もみんな姿を消し、寒々とした景色がパークを支配するが、それでも目を凝らしてよく見ると、ブラックアンドホワイトの世界に意外な“美”がひそんでいることに気づく。厳しい環境の中に息づく美を発見できると少し心が和む。

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凍てついた野原 #1

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凍てついた野原 #2

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凍てついた野原 #3

 

極寒のハイキングトレイルで起きたある“奇跡”

1月19日昼頃のこと、世にも稀な体験をした。私はいつものルージュ・パークの土曜日定例ウオーキングに出かけた。この日は今冬初めての本格的寒波がトロント一帯を襲った日で、気温は氷点下14℃、雪も降っていた。こんな天気にウオーキングに来る人はめったにいない。いつもの距離よりも長く歩き(計2時間29分、10.7キロ)車を止めてあるパーキングまであと10分ぐらいの地点で、前を歩いていた男女のカップルに出会った。凍った地面に雪がうっすらとかぶった急な下り道で二人はちょっと難儀していた。私は簡単なアイゼンを装着した靴を履いているので問題なく進めたのだが、前にいた女性が「お先にどうぞ」と言ったことからちょっとした会話が始まり、同行の若い男性が何と日本から出張でトロントに来ていた日本人であるということが分かった。

人っ子一人いないような極寒のハイキングトレイルで日本人に会えたという驚きでしばし立ち止まって3人の話が始まった。同行のカナダ人女性は男性が日本で勤務している企業のカナダ支社に勤務している人だった。初めてトロントに出張してきた男性が翌日には米国に移動するということから、休日だったこの日、「トロント体験を味わわせてあげたいと思い」ルージュ・パークに案内してきたのだそうだ。

本当の“奇跡”が始まったのはその直後からだった。日本人の青年に「出身はどちらですか」と尋ねたら「東京です」という答え。私が「私も東京で山手線の駅でいうと駒込の近くです」と言ったら、何と彼が「ええっ、私の実家も駒込駅のすぐ近くですよ!」と言ったのでお互いに驚愕。彼が生まれたのはそこではないそうだが、祖母上の代から実家がそこにあり、彼自身、高校、大学時代をその家で過ごしたというから青春の思い出多い街であることは間違いない。霜降橋、霜降銀座、古河庭園、六義園などなど、現地の人間以外にはあまり理解されない場所の名前がトロントの東端の森の中で交差したのだ。何という不思議だろう。奇跡的な出会いとしか言いようがない。

こういうことがあるから人生は面白い。

ところで寒波は翌日、翌々日とさらに厳しくなり氷点下20℃前後を行き来した。

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極寒のハイキングトレイルで遭遇した日本人青年(左)

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この日は氷点下14℃だったが、翌日、翌々日は氷点下20℃前後

 

ケガを負った鹿をパトカーで轢殺した警官に抗議殺到

1月5日夜10時ごろ、アルバータ州レスブリッジ市(カルガリーの南東約220キロ。人口約10万人)で、車にはねられて重傷を負った鹿を見つけた警官が、乗っていたパトロールカーで路上に横たわった鹿の上を5回も行ったり来たりして殺し、路肩に放置して去っていったことがSNS上で動画で公開され、大問題になっている。報道によると、鹿は苦痛にうめくような声を上げて2回起き上がろうとしたが、その上をパトロールカーが行きつ戻りつし、1回は完全に鹿の体の上で停止したと伝えられている。

 

13日には100人ほどの市民らがレスブリッジ警察署の前にプラカードを掲げて集まり、残虐な方法で鹿を殺した警官を解雇せよなどと要求した。「当該警官を解雇せよ」と要求するオンライン請願でも7万人以上の署名が集まったという。13日のデモに参加した人々の多くは、「ケガをした鹿を見かけた警官は、自分で残虐な方法で鹿を殺すのではなく、動物保護局に連絡して安楽な方法で死なせることを選ぶべきだった」と主張しているそうだ。

 

中には問題の警官を「殺す」などと書いた脅迫状を送った者もいたそうで、警察では事の重大さに驚き、「真相を究明して適切に対処する」と声明を発表した。

南へ飛んでいくのを忘れたカナダグース?

今日、歩いて近くの銀行に行ってきたあと、私たちが住んでいるコンドミニアムの前の空き地でカナダグース(単数形ではCanada goose 複数形になるとCanada geese)たちが少数だけどたむろしているのを見かけた。最近、同じ空き地でよくカナダグースの集団を見かける。普通だったら彼らは寒くなる前に南に向かって集団で大飛行をするものだが、この空き地で見かける連中は「このくらいの寒さならトロントのここら辺でもいいか」と決め込んで、南への大移動をやめてしまったのだろうか。これも地球温暖化の影響なのだろうか。

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うちの近くの空き地にたむろするカナダグースたち

 

凍った川のそばを歩く

1月12日お昼ごろ、いつもの土曜日ウオーキングのトレイルがあるルージュ・パークに行った。気温はマイナス4℃、ルージュ・リバーの川面はうっすらと凍結していた。空はよく晴れていて気持ちのよいウオーキングを1時間半ほどやって帰宅した。

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ルージュ・パークのトレイル入り口近くの橋の上から凍ったルージュ・リバーを撮る

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同じく凍ったルージュ・リバーを別の場所から撮影

 

カナダ徒歩横断9000キロを成就した青年

2018年2月半ば、サスカチュワン州ヨークトン出身の青年、ザイエル・ジョンストンさんは、カナダ徒歩横断の一人旅に出た。カナダの最西端、BC州ビクトリア市の太平洋岸から出発し、11月半ば、カナダの最東端、ニューファンドランド州スピアー岬に到達するまでの約9000キロ、1180万歩を歩き通した。1日平均約3万2300歩、約50キロ、雨、雪、あられ、嵐の中をひたすら歩き続けた。これまで歩いたり、走ったり、自転車などでカナダ横断を試みた人々は大抵、何らかの慈善活動や募金集めなどを目的としていた。ザイエルさんはあくまでも「自分に課したゴールを達成したかった」と語っている。

ザイエルさんは約20キロの重さのバックパックを背負って歩いたが、その中身はテント、寝袋、キャンプ用コンロ、ロング・ジョン(股引)、上下下着2組ずつ、ウールの靴下など。そのほか、母親がいつでも彼の所在地をトレースできるようにとGPSも携えていた。BC州の山々が迫る道、豪雨の中を歩きながら「誰も知らないのになんでこんなつらい苦しいことをしているんだろう」と自問自答しながら、一人歩き続けた。それから4足の靴を履きつぶした。

徒歩横断計画のために約7000ドルの予算を組んでいたが主として装備や食料のためで、9か月の間、モテルやレストランのためにお金を使ったことはほとんどないそうだ。野原や個人の家の庭先などに野宿し、時には数週間もシャワーを浴びず洗濯もできなかったこともあったという。また、ザイエルさんは横断徒歩旅行を通して見知らぬ人々からの親切に触れることが数多くあったと言っている。

11月半ば、目的地のスピアー岬に到着したザイエルさんは出発時に比べ、13.5キロもやせ、顔中、ひげが伸び放題だったが、「目的を達成し終わった時の気持ちはどんな言葉でも表せない、どんなカメラでも撮りつくせないものだった」と語っている。