大相撲

中学生の体育の授業で柔道をやって右鎖骨骨折をして以来、次から次へと剣道、空手、ボクシング、ブラジリアン柔術などとさまざまな格闘技をちょっとかじっては何かの理由で続けられなくなり、結局、何一つとしてモノにならなかった私だが、なぜか格闘技が好きなことだけは変わらなかった。

この歳になってはまっているのがほかならぬ大相撲である。毎場所、NHKテレビの３０分のダイジェスト版を欠かさず見ている。小学校時代、相撲がブームで休み時間や放課後に校内の砂場に級友たちと集まって、「俺は栃錦だ」「俺は若乃花だ」などと自分のひいき力士の名前を名乗ってみんなで相撲を取った。私はなぜかあまり強くもなく人気もなかった力士が好きで「俺は大起（おおだち）だ」とか「鬼竜川だ」とか名乗っていた。実際、クラスの中では強い方ではなかったが、そんなに弱くもなかった。

１９７２年６月にカナダに移って以来、何十年も相撲のことなどほとんど一顧だにしなかったが、ここ数年来、すっかり大相撲のファンになった。まことに不思議なことにスポーツとかスポーツ番組などいっさい興味を示さなかったワイフが大相撲のダイジェスト版だけは熱心に見るようになったのだ。理由はまったく分からない。私が相撲に魅力を感じるのは勝負の速さ、単純明快さと、残酷性が全くないことにあるのかなと思っている。